寸法(mm)と人の動きから、間取りの「ちょうどいい」を決める。一級建築士の視点で、実施設計の考え方をまとめたシリーズです。
結論:和室は、低めの光と間接照明で落ち着く空間になります。床に座る目線に合わせて、まぶしさを抑えることが大切です。
- 床に座ると目線が低くなり、天井の照明が視界に入りやすい
- 主照明は調光できるものを選び、明るさを場面で変える
- 壁や床の間を照らす間接照明で、陰影のある落ち着いた空間に
- 寝室として使うなら、寝転んだときに光源が目に入らない位置に
和室は、光で印象が変わる
和室は、畳、木、土壁や塗り壁、障子と、光をやわらかく返す素材でできています。そのぶん、照明の当て方で雰囲気が大きく変わります。
床に座ると、目線が低くなる
椅子に座るリビングと違い、和室では床に座ったり寝転んだりします。目線が低いぶん、天井の照明が視界に入りやすく、まぶしく感じやすいのです。
主照明の考え方
- 調光できる照明を選ぶ:掃除や来客のときは明るく、くつろぎや就寝前は暗めに
- 光源が直接見えにくい器具を選ぶ:和紙のシェードや、乳白のカバーなど
- 和室の広さに合った明るさにする:明るすぎると落ち着かない
間接照明が鍵
和室の落ち着きは、陰影から生まれます。床の間や壁を下から照らす、天井の縁から光を反射させる、といった間接照明は、光源を見せずに、やわらかい明るさをつくります。
明るさにむらがある空間のほうが「くつろげる」と感じられやすいという照明の研究もあります(インテリア設計の教科書 #12)。日本の住まいが陰影を大切にしてきた理由とも重なります(#10 和モダン)。
| 照明 | 役割 | 和室での使い方 |
|---|---|---|
| 主照明 | 部屋全体の明るさ | 調光できるシーリングや和紙のペンダント |
| 間接照明 | 陰影とくつろぎ | 床の間、壁、天井の縁を照らす |
| フロアスタンド・置き行灯 | 低い位置の光 | 床座の目線に合ったやわらかい光 |
寝室として使う場合
寝転んだとき、光源が真上に来ない位置に照明を配置しましょう。寝る前の明るい光は眠りを遅らせることもわかっています(#47 寝室照明)。
ダウンライトの落とし穴
和室にダウンライトを並べると、寝転んだときに光源が目に入りやすく、まぶしく感じます。和室にダウンライトを使うなら、壁際に寄せて、壁を照らすように配置するのがおすすめです。
「暗さ」を怖がらない
和室は、少し暗いくらいが落ち着く部屋です。部屋全体を均一に明るくするより、必要な場所だけを照らし、ほかは少し暗くしておくと、和室らしい静けさが生まれます。
素材と光の関係
- 障子:昼は外の光を拡散し、夜は室内の光をやわらかく透かす
- 塗り壁:光をしっとり吸い込み、陰影がやわらかい
- 畳:光をやさしく返し、床に近い光と相性がいい
和室の照明をつくる5つのコツ
- 調光できる主照明を選ぶ
- 光源が見えにくい器具にする
- 間接照明を一つ入れる:床の間や壁を照らす
- 低い位置の光を足す:フロアスタンドや行灯
- 寝室として使うなら、枕の真上を避ける
和室の照明は、立った目線で選ぶと、明るすぎたり、まぶしすぎたりしがちです。照明を決めるときは、畳に座ったり寝転んだりした目線で、天井や壁を見上げることを想像してみてください。
わかっていること、いないこと
| テーマ | わかっていること | 注意点 |
|---|---|---|
| 陰影とくつろぎ | 明るさにむらがある空間は「くつろげる」と感じられやすい | 主に1970年代の印象評価の研究 |
| 夜の光と眠り | 寝る前の明るい光は、眠りを促すホルモンの分泌を遅らせる | 個人差がある |
| 床座の目線 | 床に座ると目線が低くなり、天井の照明が視界に入りやすい | 座り方や部屋の広さで変わる |
和室の照明を決める前に確かめたい5つのこと
- □ 主照明は、調光できるか
- □ 光源が直接見えにくい器具か
- □ 壁や床の間を照らす間接照明があるか
- □ 低い位置の光(スタンドなど)を置く電源があるか
- □ 寝室として使うとき、枕の真上に照明がないか
和室の照明のよくある質問(FAQ)
Q. 和室に合う照明の色は?
電球色がよく使われますが、快適さには色より明るさの影響が大きいとされます。まずは調光で暗くできることを優先しましょう。
Q. 和風の照明器具でないといけませんか?
そんなことはありません。シンプルな照明でも、光源が見えにくく、やわらかい光であれば和室によくなじみます。
Q. 床の間がない和室でも、間接照明はつくれますか?
壁の一面を下から照らすスタンドや、天井の縁から光を反射させる照明で、同じような効果が得られます。
まとめ|和室は、低めの光で落ち着く
- 床座の和室は、天井の照明がまぶしく感じやすい
- 調光できる主照明と、光源が見えにくい器具を選ぶ
- 間接照明と低い位置の光で、陰影をつくる
- 暗さを怖がらず、必要な場所だけを照らす
和室は、光と影のバランスで、静かで落ち着く空間になります。座った目線で、光の位置と明るさを考えてみてください。
おすすめ|和室計画は第三者目線が効く
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シリーズの前の回。和室は本当に必要?という話です。

寝室照明の正解は?の回です。

インテリア設計の教科書。和モダンは余白と陰影のデザイン、という話です。



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