寸法(mm)と人の動きから、間取りの「ちょうどいい」を決める。一級建築士の視点で、実施設計の考え方をまとめたシリーズです。
結論:キッチンの高さは、身長÷2+50mmが目安です。「標準だから850mm」ではなく、一番長くキッチンに立つ人の体に合わせて決めます。
- 身長160cmなら850mm、170cmなら900mm
- 低すぎると前かがみで腰に、高すぎると肩や腕に負担
- ガスコンロは五徳の分だけ鍋の位置が高くなる
- ショールームでスリッパを履いて実際に立って確かめる
キッチンは「高さ」で使いやすさが変わる
キッチンの使いやすさというと、レイアウトや通路の幅、収納の量に目が行きがちです。でも、毎日の体への負担に一番影響するのは、ワークトップ(天板)の高さです。
高さが合わないと、腰が痛い、肩が疲れる、長い時間の料理がつらい、ということが起きます。逆に、高さが合っていると、同じ料理でもずっと楽になります。
結論:身長÷2+50mm
キッチンの高さの目安として、よく使われるのが身長÷2+50mmです。
| 身長 | 目安の高さ | 近い製品の高さ |
|---|---|---|
| 150cm | 800mm | 800mm |
| 155cm | 825mm | 800mmか850mm |
| 160cm | 850mm | 850mm |
| 165cm | 875mm | 850mmか900mm |
| 170cm | 900mm | 900mm |
| 175cm | 925mm | 900mmか950mm |
| 180cm | 950mm | 950mm |
システムキッチンは、800・850・900・950mmのように、5cm刻みで高さを選べる製品が多くあります。目安の高さが製品の間になるときは、実際に立って、楽なほうを選びましょう。
高さごとの向いている人
| 高さ | 向いている人 | 注意点 |
|---|---|---|
| 800mm | 身長150〜155cmくらい。包丁を使う作業が多い人 | 背の高い家族は前かがみになりやすい |
| 850mm | 身長155〜165cmくらい。標準として最も多く使われる高さ | 「標準だから」で決めると合わないことも |
| 900mm | 身長165cm以上。男性も料理をする家庭 | 背の低い家族には腕が上がって疲れやすい |
| 950mm | 身長175cm以上 | 製品によっては選べないこともある |
高さが合わないと起きること
| 合っていない状態 | 体への負担 |
|---|---|
| 低すぎる(例:身長170cmで800mm) | 前かがみになり、腰に負担がかかる |
| 高すぎる(例:身長150cmで900mm) | 腕と肩が上がり、包丁や鍋を扱うと疲れやすい |
キッチンは、体に合わせる設備です。家具のように後から気軽に交換できないので、設計の段階でしっかり決めておきましょう。
コンロ部分は少し高くなる
ガスコンロは、鍋を乗せる五徳(ごとく)の分だけ、鍋の位置がワークトップより高くなります。IHはほぼ平らなので、ワークトップと同じ高さで鍋を扱えます。
炒め物など、鍋を持ち上げたり振ったりすることが多い人は、コンロの位置の高さも意識して、ショールームで確かめてみましょう。
家族で身長が違う場合
- 一番長くキッチンに立つ人に合わせるのが基本
- 背の低い人が使うときは、足元に厚めのキッチンマットや踏み台を使う方法もある
- 背の高い人が低いキッチンを使うと前かがみになりやすい。料理を分担するなら、少し高めを選ぶ家庭も多い
- 2列型のキッチンなら、シンク側とコンロ側で高さを変えられる製品もある
高さを決める5つのステップ
- 一番長くキッチンに立つ人を決める
- 身長÷2+50mmで目安を出す
- ショールームで、スリッパを履いて立ってみる:包丁を使う動き、鍋を振る動き
- ガスかIHかで、コンロの高さを確かめる
- 家族の身長差への対策を決める:マット、踏み台、2列型
キッチンの高さは、ショールームで実際に立ってみるのが一番確実です。そのとき、ふだん家で履くスリッパと同じくらいの厚さの靴で立つと、実際の高さに近くなります。包丁を持つふり、鍋を振るふりをして、腰や肩が楽な高さを探してみてください。
わかっていること、いないこと
| テーマ | わかっていること | 注意点 |
|---|---|---|
| 身長÷2+50mm | キッチンの高さの目安として広く使われている | 体格(腕の長さなど)や作業の仕方で、ちょうどいい高さは変わる |
| 製品の高さ | 800・850・900・950mmなど5cm刻みで選べる製品が多い | メーカーによって選べる高さは違う |
| コンロの高さ | ガスは五徳の分、鍋の位置が高くなる | 製品によって五徳の高さは違う |
キッチンの高さを決める前に確かめたい5つのこと
- □ 一番長くキッチンに立つ人を決めたか
- □ 身長÷2+50mmで目安を計算したか
- □ ショールームで、スリッパを履いて立ってみたか
- □ ガスかIHかで、コンロの高さを確かめたか
- □ 家族の身長差への対策を考えたか
キッチンの高さのよくある質問(FAQ)
Q. あとから高さを変えられますか?
システムキッチンの高さを変えるのは、ほぼ交換に近い工事になります。設計の段階でしっかり決めておきましょう。
Q. アイランドキッチンの高さは?
考え方は同じです。ダイニングと一体のカウンターにする場合は、椅子に座る側の高さとのバランスも確かめましょう。
Q. 吊戸棚の高さも身長で決めますか?
吊戸棚は、手が届く高さかどうかが大切です。背の低い家族には、昇降式の吊戸棚や、吊戸棚をやめて背面収納にする方法もあります(カップボード)。
まとめ|キッチンの高さは、体に合わせる
- 目安は身長÷2+50mm
- 身長160cmなら850mm、170cmなら900mm
- 「標準だから850mm」ではなく、一番長く立つ人に合わせる
- ガスコンロは五徳の分だけ鍋の位置が高くなる
- ショールームで実際に立って確かめる
キッチンの高さは、毎日の料理の疲れを左右する数センチです。体に合う高さを、設計の段階で選んでみてください。
おすすめ|キッチン計画は第三者目線が効く
一級建築士・こばやんより
家づくりで後悔した、という声の多くは、間取りが確定する前に、一度も専門家と話せなかったことが原因です。
工事前なら、まだ間に合います。
▶ 建築士がすすめる、後悔しない第一歩
タウンライフ家づくり
― 営業なし・完全無料で、間取りを整理できる場所 ―
「間取りの後悔って、工事前なら防げることが多いです。
比較せずに決めるのが、一番危ない。」
― こばやん(一級建築士)
※ 完全無料・しつこい営業なし・いつでも退会OK
※ 本リンクはアフィリエイト広告を含みます
次に読む
キッチンの実施設計 完全ガイド。広さ・レイアウト・収納・ゴミ動線のまとめです。

ダイニングの配置で後悔する理由。キッチンから1〜2歩の話です。

インテリア設計の教科書。体の寸法と、座る・立つ姿勢の話です。



コメント