寸法(mm)と人の動きから、間取りの「ちょうどいい」を決める。一級建築士の視点で、実施設計の考え方をまとめたシリーズです。
結論:和室は、使う理由がはっきりしている家には、とても役立つ部屋です。理由がはっきりしないなら、畳コーナーや多目的室という選択肢もあります。
- 親の泊まり・仏間・子育て・将来の寝室など、使う理由があるなら和室が向く
- 床に座る暮らしが少なく、来客も少ないなら、なくても困らないことが多い
- 畳コーナーや多目的室で、和室の良さの一部を取り入れられる
- 和室をつくる面積で、LDKや収納を広げる選択肢もある
「とりあえず和室」はやめたほうがいい
家づくりで、「とりあえず和室を一部屋」という希望はよく聞きます。でも、使う理由がはっきりしないまま和室をつくると、物置になってしまうことも多いものです。
和室が「必要な家」
| こんな家なら | 和室の使い方 |
|---|---|
| 親や親せきがよく泊まりに来る | 客間 |
| 仏壇を置く | 仏間 |
| 小さな子どもがいる、これから生まれる | 昼寝、遊び場、おむつ替え(#58) |
| 床に座ってくつろぐのが好き | くつろぎの場所 |
| 将来、1階で寝る可能性がある | 将来の寝室(ライフスタイル #08) |
和室が「なくてもいい家」
- 来客が少なく、泊まりの客はほとんどいない
- 床に座るより、ソファや椅子で過ごすことが多い
- 面積に余裕がなく、LDKや収納を優先したい
- 畳の手入れ(換気・掃除・表替え)が負担
代わりの選択肢
| 選択肢 | 特徴 | 向いている家 |
|---|---|---|
| 畳コーナー(小上がりなど) | LDKの一角に畳。面積が少なくて済む | 子育て、くつろぎに使いたい |
| フローリングの多目的室 | 用途を変えやすく、家具も置きやすい | 客間、書斎、将来の寝室 |
| 置き畳 | 必要なときだけ畳の場所をつくれる | とりあえず試してみたい |
和室の良さ(床に座れる、寝転べる、客間になる)の一部を、面積や費用を抑えて取り入れる方法です。
面積とのバランス
和室を6畳つくると、そのぶん、LDKや収納、ほかの部屋に使える面積が減ります。和室で得られるものと、ほかに使ったときに得られるものを比べて決めましょう(#56 和室の広さ)。
よくある失敗
- とりあえずつくった和室が、物置になった
- 仏壇を置いたら、ほかの用途に使いにくくなった
- 和室のせいで、LDKが狭くなった
- 畳の手入れが負担で、使わなくなった
和室の要・不要を決める5つの問い
- 和室で、普段何をするか:具体的な場面が3つ以上あるか
- 泊まりの来客はどれくらいか
- 仏壇を置くか
- 将来、1階で寝る可能性はあるか
- 代わりの選択肢で足りないか:畳コーナー、多目的室
「和室はあったほうがいいですか?」という質問には、いつも「そこで何をしますか?」と聞き返すようにしています。答えがすぐに出てくる家は、和室が役に立つ家です。迷うなら、畳コーナーや多目的室で十分なことも多いと思います。
わかっていること、いないこと
| テーマ | わかっていること | 注意点 |
|---|---|---|
| 和室の使われ方 | 使う理由がはっきりしない和室は物置になりやすい、というのは設計の実務でよく聞く話 | 家族の暮らし方で大きく違う |
| 畳の手入れ | 換気や掃除、数年ごとの表替えなどが必要 | 畳の種類(い草・和紙・樹脂)で手入れの手間は違う |
| 代わりの選択肢 | 畳コーナーや多目的室で、和室の良さの一部を取り入れられる | 客間として閉じられるかは、つくり方による |
和室を決める前に確かめたい5つのこと
- □ 和室で普段することが、3つ以上思い浮かぶか
- □ 泊まりの来客の頻度を考えたか
- □ 仏壇を置くかどうか決めたか
- □ 将来、1階で寝る可能性を考えたか
- □ 畳コーナーや多目的室と比べたか
和室の要・不要のよくある質問(FAQ)
Q. 和室があると、売るときに有利ですか?
地域や物件によりますが、最近は和室の有無より、使いやすい間取りや収納のほうが重視されることが多いようです。
Q. 畳の手入れは大変ですか?
い草の畳は、換気や掃除、数年ごとの表替えが必要です。和紙や樹脂の畳は、汚れや傷みに強く、手入れが比較的楽です。
Q. 和室をつくらず、あとで置き畳にするのはどうですか?
費用を抑えて試せる方法です。ただ、扉で閉じて客間にすることはできないので、泊まりの来客が多い家は注意しましょう。
まとめ|和室は、使う理由があるならつくる
- 和室は、使う理由がはっきりしている家に役立つ
- 理由がはっきりしないなら、なくても困らないことが多い
- 畳コーナーや多目的室という代わりの選択肢もある
- 和室の面積で、ほかに得られるものと比べて決める
和室は、つくるかどうかより、そこで何をするかが大切です。家族の暮らしを思い浮かべて、自分たちに合う答えを見つけてください。
おすすめ|和室計画は第三者目線が効く
📐 一級建築士・こばやんより
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シリーズの前の回。和室の建具と間仕切りの正解は?という話です。

シリーズの次の回。和室の照明と雰囲気づくりです。

ライフスタイルの教科書。いい間取りが家族によって違う理由です。



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