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夜、”帰りたくなる家”はどう作られる?|建築士は”夜景”を設計している

敷地設計の教科書 #10 「夜、帰りたくなる家はどう作られる?」― 建築士は夜景を設計している いえのキホン
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敷地設計の教科書 #10

敷地・外構・緑まで、土地全体で暮らしを設計する。一級建築士の視点で、家の外側の考え方をまとめたシリーズです。

SHEET — 外構照明の要点S = 1:敷地設計の教科書 10 / kobayan

結論:外の照明は「明るさ」ではなく、どこを、どんな光で照らすかで、夜の家の表情が決まります。

  • とにかく明るい照明は、まぶしく、近所にも迷惑になりやすい
  • 足元・植栽・壁をやわらかく照らすと、安心感と奥行きが出る
  • 外の照明は、電球色に近い暖かい光が落ち着きやすい
  • 防犯は、常に明るくより、人感センサーで必要なときに明るくする方法もある
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「照明って、明るければいいですよね?」

外構の照明というと、防犯のために明るく、という考え方が多いものです。もちろん、暗すぎて足元が見えないのは危険です。

でも実際には、明るすぎる外の照明は、まぶしく、落ち着かず、近所にも迷惑になることがあります。この記事では、夜に帰りたくなる家をつくる外構照明の考え方を、建築士の視点でまとめます。室内の照明については、インテリア設計の教科書 #12 ダウンライトで書いています。

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「とにかく明るい」は、意外と疲れる

強い光が一方向から当たると、まぶしさと、くっきりした影ができます。光源が目に入ると、周りがかえって見えにくくなることもあります。

室内と同じように、外でも明るさの差(陰影)がある空間のほうが、落ち着いて、奥行きのある夜景になります。

どこを照らすかで、夜の表情が変わる

照らす場所効果照明の例
足元・アプローチ安全に歩ける。やわらかい安心感低い位置のポールライト、地面に埋め込む照明
植栽葉の影が壁に映り、奥行きが出る木を下から照らすスポットライト
壁・門柱家の輪郭が浮かび、表情が出る壁を照らすブラケット、門柱灯
駐車場車の乗り降りと防犯人感センサー付きの照明
窓室内の光が外にこぼれ、温かく見える室内の照明の配置で変わる

足元がやわらかく見えると、安心感が出る

アプローチの足元をやわらかく照らすと、段差がわかり、安全に歩けます。そして、光が玄関へと続いていくことで、帰ってきたという気持ちが生まれます(#04 アプローチ)。

植栽ライトで、空気感は大きく変わる

木を下から照らすと、葉の影が壁に映り、昼とはまったく違う表情になります。小さな照明一つで、外の空間に奥行きが生まれます。植栽と照明は、セットで考えると効果的です(#08 植栽)。

光の色は、暖かい色が落ち着きやすい

外の照明では、電球色に近い暖かい色の光がよく使われます。白っぽい光は明るくはっきり見えますが、夜の住宅街では少し冷たい印象になりがちです。暖かい色の光は、木や塗り壁などの素材をやわらかく見せ、家を温かく見せてくれます。

駐車場照明は、「防犯」と「まぶしさ」のバランス

駐車場は、乗り降りのための明るさと、防犯のための明るさが必要です。ただ、一晩中強い光をつけておくと、隣の家の窓や道路を歩く人にまぶしい思いをさせることがあります。

人感センサー付きの照明なら、人が近づいたときだけ明るくなり、防犯にも効果的です。照明の向きを、隣の家や道路に向けない工夫も大切です。

窓からこぼれる光が、家の温度感をつくる

夜の家の印象をつくっているのは、外の照明だけではありません。窓から室内の光がやわらかくこぼれていると、家は温かく見えます。ただし、レースだけだと夜は室内が透けて見えるので、カーテンとの使い分けも考えておきましょう(インテリア設計の教科書 #11)。

帰りたくなる夜をつくる5つのコツ

  1. 足元を照らす:アプローチや段差を、低い位置のやわらかな光で
  2. 一本の木を照らす:葉の影が夜の家に奥行きをつくる
  3. 暖かい色の光を選ぶ:電球色に近い光で、素材をやわらかく見せる
  4. まぶしさに配慮する:光源が目に入らない器具、隣家や道路に向けない向き
  5. 防犯はセンサーで:駐車場や勝手口は、人感センサーで必要なときに明るく
👓 建築士のメモ

外構照明は、図面の上では位置が決めにくく、後回しにされがちです。でも、配線は外構工事と一緒にしておかないと、あとから足すのが大変です。設計の段階で、夜に家に帰ってくる場面を思い浮かべて、どこに光がほしいかを決めておくと安心です。

わかっていること、いないこと

テーマわかっていること注意点
陰影と落ち着き明るさに差がある空間のほうが落ち着きやすい、という照明の研究がある主に室内の研究。屋外にそのまま当てはまるとは限らない
暖かい色の光住宅の外構では暖かい色の光が広く使われている光の色と快適さの関係は、研究では明るさほどはっきりしていない
照明と防犯人感センサー照明は、侵入をためらわせる効果があるとされる照明だけで防犯が完結するわけではない

外構照明を決める前に確かめたい5つのこと

  • □ アプローチの段差や足元を照らせるか
  • □ 照らしたい木や壁があるか
  • □ 光の色は、暖かい色にしているか
  • □ 照明が、隣の家や道路にまぶしくないか
  • □ 駐車場や勝手口に、人感センサーの照明があるか

外構照明のよくある質問(FAQ)

Q. 外の照明は、一晩中つけておくべきですか?

必要な明るさによります。足元の小さな照明はタイマーで夜の時間帯だけつけ、駐車場や勝手口は人感センサーにする、という組み合わせが一般的です。電気代やまぶしさも抑えられます。

Q. ソーラーライトでも大丈夫ですか?

配線工事がいらず手軽ですが、日当たりや季節によって明るさや点灯時間が変わります。足元のアクセントにはソーラー、安全や防犯に関わる場所は電源のある照明、と使い分けるのがおすすめです。

Q. 照明を後から足すことはできますか?

できますが、配線のために地面を掘り返す必要が出ることがあります。外構工事の段階で、将来照明を足すための配管だけでも入れておくと安心です。

まとめ|夜の家は、照らし方でつくられる

  • 明るすぎる照明は、まぶしく近所にも迷惑になりやすい
  • 足元・植栽・壁をやわらかく照らすと、安心感と奥行きが出る
  • 暖かい色の光が、家を温かく見せる
  • 防犯は、人感センサーで必要なときに明るく

夜の家は、昼とはまったく違う表情を持っています。足元をやわらかく照らす光、葉の影、窓からこぼれる明かり。帰りたくなる夜は、照明の数ではなく、照らし方でつくられます。

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この記事を書いた人|メガネ建築士(一級建築士・宅地建物取引士・ハウスメーカー設計士/150棟以上の住宅設計)
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