寸法(mm)と人の動きから、間取りの「ちょうどいい」を決める。一級建築士の視点で、実施設計の考え方をまとめたシリーズです。
結論:クローゼットは奥行600mmが基本。ハンガーパイプは、長い服は1段、短い服は2段に使い分けると、同じ幅でもたくさん掛けられます。
- ハンガーに掛けた服の奥行きは約600mm
- 1段のパイプは、コートやワンピースなど長い服向き
- 2段のパイプは、シャツやスカートなど短い服を2倍掛けられる
- 子どもには、手が届く低めのパイプを
クローゼットは、「なんとなく」で失敗する
クローゼットは、扉を開けたら棚とパイプが1本、という形が多いものです。でも、奥行きやパイプの高さを考えずにつくると、奥行きが足りずに扉が閉まらない、下の空間がむだになる、ということが起きます。
奥行きは600mmが基本
ハンガーに掛けた服は、肩幅とハンガーの大きさで、奥行きが約600mm必要になります。奥行きが450mmほどだと、ハンガーを正面向きに掛けられず、服がはみ出したり、扉に当たったりします。
| 奥行き | 使い方 |
|---|---|
| 約450mm | たたんだ服の棚、小物。ハンガーは斜めや正面掛けになる |
| 約600mm | ハンガーを横向きに掛けられる基本の奥行き |
| 約750mm以上 | 奥のスペースが使いにくくなりやすい |
パイプの高さの考え方
| パイプ | 高さの目安(床から) | 向いている服 |
|---|---|---|
| 1段 | 約1700〜1800mm | コート、ワンピース、ロング丈の服 |
| 2段の上 | 約1800〜1900mm | シャツ、ジャケット |
| 2段の下 | 約900〜1000mm | スカート、たたんだズボン、子どもの服 |
パイプの上には、帽子やかばんを置く棚をつけると、空間を無駄なく使えます。
1段と2段の使い分け
短い服ばかりを1段のパイプに掛けると、下の空間が空いたままになります。2段にすると、同じ幅で約2倍の服を掛けられます。
1つのクローゼットの中で、一部を1段、一部を2段にすると、長い服と短い服の両方に対応できます。可動式のパイプや棚にしておくと、あとから変えられます。
下のスペースの活用
- 1段のパイプの下に、引き出しの収納ケースを置く
- かばんや季節の小物を入れる箱を置く
- 子どものおもちゃや学用品を置く
クローゼットの前の通路
クローゼットの前には、扉を開けて立ち、服を選ぶスペースが必要です。開き戸なら扉の幅、引き戸なら立つスペースだけで済みます。目安は800〜900mmです(#46 通路)。
家族ごとの考え方
- 大人:長い服と短い服の量を見て、1段と2段を組み合わせる
- 子ども:自分で掛けられる低めのパイプ。成長に合わせて上げられる可動式に
- ファミリークローゼット:家族ごとに区画を分けて、取り違えを防ぐ
よくある失敗
- 奥行きが足りず、扉が閉まらない
- パイプが1段だけで、下の空間がむだになる
- 子どもの手が届かず、自分で片付けられない
- クローゼットの前にベッドがあって、扉が開かない
クローゼットを決める5つのステップ
- 掛ける服の量と丈を数える
- 奥行き600mmを確保する
- 1段と2段を組み合わせる
- 子どもには低めの可動パイプを
- 前の通路と扉の種類を決める
クローゼットの中は、図面には細かく描かれないことが多い部分です。今使っているクローゼットで、長い服と短い服がどれくらいあるかを数えておくと、新しい家のクローゼットを、1段と2段にどう分けるか決めやすくなります。
わかっていること、いないこと
| テーマ | わかっていること | 注意点 |
|---|---|---|
| 奥行き600mm | ハンガーに掛けた服の奥行きとして一般的 | 厚手のコートなどは、もう少し必要なこともある |
| パイプの高さ | 1段は約1700〜1800mm、2段は上下に分けるのが一般的 | 身長や服の丈で、ちょうどいい高さは変わる |
| 2段の収納量 | 短い服なら、同じ幅で約2倍掛けられる | 長い服が多い場合は効果が小さい |
クローゼットを決める前に確かめたい5つのこと
- □ 奥行きは600mmあるか
- □ 長い服と短い服の量を数えたか
- □ 1段と2段の組み合わせを考えたか
- □ 子どもの手が届く高さか
- □ クローゼットの前に、立って服を選ぶ余裕があるか
クローゼットのよくある質問(FAQ)
Q. 扉は、開き戸と引き戸のどちらがいいですか?
開き戸は全体を見渡しやすく、引き戸は前のスペースを取りません。部屋の広さと、クローゼットの前の通路の幅で選びましょう。
Q. 扉なしのオープンクローゼットはどうですか?
出し入れが楽で、風通しもよくなります。ただ、ほこりが入りやすく、中が見えるので、整理を続けられるかで判断しましょう。
Q. クローゼットにも照明は必要ですか?
奥が暗いと服の色が見分けにくくなります。部屋の照明が届かない場合は、クローゼットの中に照明を付けると便利です(#67)。
まとめ|クローゼットは、奥行きとパイプで決まる
- 奥行きは600mmが基本
- 長い服は1段、短い服は2段で、同じ幅でも多く掛けられる
- 子どもには、手が届く低めの可動パイプを
- 前の通路と扉の種類も一緒に決める
クローゼットは、服の量と丈に合わせて中をつくると、同じ広さでもずっと使いやすくなります。
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一級建築士・こばやんより
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シリーズの前の回。納戸の広さと寸法は何mm必要?という話です。

シリーズの次の回。布団収納はどう設計する?という話です。

主寝室とウォークインクローゼットの関係の回です。



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