寸法(mm)と人の動きから、間取りの「ちょうどいい」を決める。一級建築士の視点で、実施設計の考え方をまとめたシリーズです。
結論:納戸は、棚の奥行き+通路800mmの足し算で幅を決めます。両側にハンガーや深い棚を置くなら、内側2000mm(壁の中心で約2250mm)が分岐点です。
- 人が入って物を出し入れする通路は800mmあると使いやすい
- 棚の奥行きは、小物なら約450mm、衣類のハンガーなら約600mm
- 両側にハンガー:600+800+600=内側2000mm。壁の厚みを含めると約2250mm
- 奥行きが深すぎる棚は、奥の物が取り出せなくなる
納戸は、広さより「寸法」で失敗する
「納戸を3畳ほしい」という希望はよく聞きます。でも、3畳の納戸でも、形と寸法によっては、中で動けず、奥の物が取り出せないこともあります。
納戸の幅の計算
| 収納のしかた | 計算(内側の寸法) | 壁の中心の寸法の目安 |
|---|---|---|
| 片側だけに棚(奥行450mm) | 450+通路800=1250mm | 約1500mm |
| 両側に棚(奥行450mm) | 450+800+450=1700mm | 約1950mm |
| 片側ハンガー(600mm)+片側棚(450mm) | 600+800+450=1850mm | 約2100mm |
| 両側にハンガー(600mm) | 600+800+600=2000mm | 約2250mm |
図面の寸法は、壁の中心からの寸法(芯々)で書かれていることが多く、内側の寸法は壁の厚みの分だけ小さくなります。内側の寸法で計算することが大切です。
「2000mmの落とし穴」
壁の中心で2000mmの納戸は、内側では1750mm前後になることがあります。この幅で両側にハンガーを掛けると、通路は550mmほどしか残らず、中に入るのも窮屈です。両側にハンガーを掛けるなら、壁の中心で約2250mmを目安にしましょう。
通路800mmの意味
通路600mmでも通ることはできますが、箱を抱えて入る、しゃがんで下の段の物を取る、振り返って反対側の棚を見る、といった動作には800mmほどあると楽です。
棚の奥行きの考え方
| しまう物 | 棚の奥行きの目安 |
|---|---|
| 本、小物、日用品のストック | 約300〜450mm |
| 衣類(ハンガー) | 約600mm |
| 収納ケース、季節家電 | 約450〜600mm(ケースの大きさに合わせる) |
| 布団 | 押入れの奥行き(#66) |
棚の奥行きを深くしすぎると、手前の物で奥が見えなくなり、奥の物が死蔵品になりがちです。
出入口の考え方
- 出入口の正面に、通路が続くように
- 扉は、引き戸か外開きに。内開きは中の棚とぶつかる
- 照明のスイッチは、入口の外か入ってすぐの位置に(#67)
動線と納戸の関係
季節の物やストックをしまう納戸は、使う場所や、出し入れする動線の近くにあると便利です。たとえば、キッチンの近くなら食品や日用品のストック、玄関の近くならアウトドア用品や季節の物、といった置き方です(#63)。
よくある失敗
- 畳数はあるのに、幅が狭くて通路がとれない
- 奥行きの深い棚で、奥の物が取り出せない
- 換気がなく、湿気でカビが出る
- 照明がなく、奥が暗い
納戸を決める5つのステップ
- しまう物を決める:衣類、ストック、季節の物
- 棚の奥行きを決める
- 通路800mmを足して、内側の幅を計算する
- 壁の厚みを含めた図面の寸法を確かめる
- 出入口・照明・換気を計画する
納戸は、図面で「3畳」「4畳」と書かれていると、広く感じます。でも、細長い形か正方形か、壁の中心の寸法か内側の寸法かで、使い勝手は大きく変わります。棚の奥行きと通路を足し算して、内側の寸法で確かめてみてください。
わかっていること、いないこと
| テーマ | わかっていること | 注意点 |
|---|---|---|
| 通路800mm | 物を持って入る、しゃがむなどの動作に余裕がある幅として、設計の実務で使われる目安 | 体格やしまう物で変わる |
| 壁の中心と内側の寸法 | 図面の芯々寸法から、壁の厚みの分だけ内側の寸法は小さくなる | 壁の厚みは構造や仕上げで違う |
| 棚の奥行き | 奥行きが深すぎると奥の物が取り出しにくい | しまう物の大きさで適切な奥行きは変わる |
納戸を決める前に確かめたい5つのこと
- □ しまう物と、棚の奥行きを決めたか
- □ 通路800mmが確保できるか
- □ 内側の寸法で計算したか
- □ 扉が中の棚とぶつからないか
- □ 照明と換気を計画したか
納戸のよくある質問(FAQ)
Q. 納戸とウォークインクローゼットは何が違いますか?
法律上の扱いでは、窓がなく採光の基準を満たさない部屋を「納戸」と表示することが多いです。使い方としては、衣類をしまうならWIC、いろいろな物をしまうなら納戸、と呼び分けることが多いようです。
Q. 納戸に窓は必要ですか?
窓があると換気と明るさがとれますが、日差しで物が傷むこともあります。換気扇と照明で対応する方法もあります。
Q. 可動棚にしたほうがいいですか?
しまう物は年々変わるので、棚の高さを変えられる可動棚がおすすめです。
まとめ|納戸は、寸法の足し算で決める
- 納戸の幅は、棚の奥行き+通路800mmで決める
- 両側にハンガーなら、内側2000mm(壁の中心で約2250mm)
- 奥行きの深すぎる棚は、奥の物が取り出せない
- 出入口・照明・換気まで計画する
納戸は、中に入って物を出し入れする自分の動きを想像すると、ちょうどいい寸法が見えてきます。畳数ではなく、mmで確かめてみてください。
おすすめ|収納計画は第三者目線が効く
一級建築士・こばやんより
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シリーズの次の回。クローゼットの正解は?という話です。

主寝室とクローゼットの関係の回です。



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