寸法(mm)と人の動きから、間取りの「ちょうどいい」を決める。一級建築士の視点で、実施設計の考え方をまとめたシリーズです。
結論:タンクレストイレは、空間とメンテナンスの条件で選びます。見た目だけで決めず、水圧・停電・手洗い・修理まで確かめましょう。
- タンクがないぶん、奥行きが約100mm前後短くなることが多い
- 製品ごとに必要な水圧があり、2階や高台、古い配管では足りないことも
- 電気で動くので、停電時の流し方を確かめておく
- タンクの手洗いがないので、手洗いを別につくる必要がある
「タンクレス=正解」は思考停止かも
最近のトイレは、タンクのないすっきりしたデザインが人気です。でも、タンクレスがすべての家に合うわけではありません。この記事では、タンクレストイレの良さと注意点を整理します。
タンク付きとタンクレスの違い
| タンク付き | タンクレス | |
|---|---|---|
| 見た目 | タンクがあり、存在感がある | すっきりしてトイレが広く見える |
| 奥行き | 長め | 約100mm前後短いことが多い |
| 手洗い | タンクの上で手を洗えるタイプがある | 別に手洗いが必要 |
| 水圧 | 条件が比較的ゆるい | 製品ごとに必要な水圧がある |
| 停電 | タンクの水で流せる | 製品の方法で流す(手動レバーなど) |
| 費用 | 比較的安い | 高め。手洗いの費用も |
奥行き寸法のリアル
タンクレスは奥行きが短いぶん、トイレの前のスペースが広くなります。狭いトイレでは、この約100mmの差が、立ち座りのしやすさに効いてきます(トイレの実施設計 完全ガイド)。
水圧条件も重要
タンクレストイレは、水道の水圧で直接流すので、製品ごとに必要な水圧が決められています。2階のトイレ、高台の家、古い配管の家などでは、水圧が足りないこともあります。設置前に、住宅会社やメーカーに水圧の確認をしてもらいましょう。
停電時の流し方
タンクレストイレの多くは、電気で弁を動かして水を流します。停電のときは、手動レバーや、バケツの水で流すなど、製品ごとの方法があります。災害時に困らないよう、流し方を家族で確かめておきましょう。
収納問題を忘れていない?
タンク付きのトイレは、タンクの上やまわりに物を置けますが、タンクレスはすっきりしたぶん、トイレットペーパーや掃除道具の置き場所を別に考える必要があります。壁に埋め込む収納や、手洗いカウンターの下の収納が便利です。
メンテナンス問題
タンクレストイレは、便器と温水洗浄便座が一体になっている製品が多く、一部が故障すると、まとめて交換になることもあります。保証期間や、修理のしやすさも確かめておきましょう。
デザイン的な魅力
タンクがないと、トイレがすっきりと広く見え、掃除もしやすくなります。手洗いを別につくることで、来客にも使いやすいトイレになります。
タンクレスを選ぶ5つの判断基準
- トイレの広さ:奥行きの短さが効くか
- 水圧:設置場所の水圧が足りるか
- 手洗い:別に手洗いをつくれるか
- 停電時の対応:流し方を確かめたか
- 費用と修理:本体と手洗いの費用、修理のしやすさ
タンクレストイレは、ショールームで見るととても魅力的です。でも、1階はタンクレス、2階は水圧や費用を考えてタンク付き、というように、場所ごとに使い分ける家庭も多いです。トイレごとに条件を確かめて選んでみてください。
わかっていること、いないこと
| テーマ | わかっていること | 注意点 |
|---|---|---|
| 奥行きの差 | タンクレスはタンク付きより奥行きが短い製品が多い | 製品によって差は違う |
| 水圧の条件 | タンクレスは製品ごとに必要な水圧が決められている | 建物や地域の水圧で、設置できるかが変わる |
| 停電時 | 電気で動く製品が多く、停電時の流し方は製品ごとに違う | 取扱説明書で確認が必要 |
タンクレスを選ぶ前に確かめたい5つのこと
- □ 設置場所の水圧が足りるか
- □ 手洗いを別につくれるか
- □ 停電時の流し方を確かめたか
- □ トイレットペーパーや掃除道具の収納があるか
- □ 費用と修理のしやすさを確かめたか
タンクレストイレのよくある質問(FAQ)
Q. 2階にタンクレスを置けますか?
置ける場合が多いですが、水圧の確認が必要です。水圧が足りない場合は、加圧の機能が付いた製品や、タンク付きを検討しましょう。
Q. タンク付きでも、すっきり見せる方法はありますか?
タンクを隠すキャビネット付きのトイレや、コンパクトなタンクの製品があります。
Q. 手洗いはどこにつくればいいですか?
トイレの中にカウンター型の手洗いをつくる、トイレの外の廊下や洗面所で手を洗う、といった方法があります(#12)。
まとめ|タンクレスは、条件で選ぶ
- タンクレスは、奥行きが短く、すっきり見える
- 製品ごとに必要な水圧がある
- 停電時の流し方、手洗い、収納を別に考える
- 費用と修理のしやすさも確かめる
タンクレストイレは、条件が合えば、とても快適なトイレです。見た目だけでなく、空間とメンテナンスの条件から選んでみてください。
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