結論:建ぺい率は真上から見た広さ、容積率は建物全体の総量。
- 建ぺい率=建築面積÷敷地面積×100
- 容積率=延べ面積÷敷地面積×100
- 前面道路が12m未満なら、道路幅による上限と指定容積率の小さい方が上限
- 本番では緩和・不算入・2つの地域・特定道路まで出る。四肢択一の発展問題つき
一級建築士試験は、腹が減る。
仕事の修正に追われながら、一級建築士試験の勉強も続ける。社会人受験生の毎日は、正直しんどいです。
『メガネ建築士の合格めし』は、建築設計の実務者・小林悠介と、彼にしか見えない相棒「ノートくん」が、ごはんをきっかけに建築法規を覚えていく漫画です。
第1話のテーマは、試験でも土地選びでも必ず出てくる「建ぺい率」と「容積率」。舞台は行きつけの「まんぷく食堂」、今日の一品は二段重定食です。
- 令和9年(2027年)の試験日程はまだ発表されていません(例年3月上旬に発表)。ここでは例年どおり7月下旬の日曜(7月25日想定)で数えています
- 学科試験は5科目・125問。法規は30問で、令和8年の科目基準点は16点でした
- 法規は法令集を持ち込める科目。だからこそ「どの条文を引くか」を知っているかで差がつきます
漫画|第1話「二段重定食で覚える建築法規」








建ぺい率とは?「真上から見た広さ」
建ぺい率は、敷地の広さに対して、建物を真上から見たときの面積(建築面積)がどれくらいかを表す割合です。漫画ではお盆が敷地、重箱が建物でした。
例:敷地100㎡・建築面積60㎡ → 60÷100×100=60%
- 建築面積は、原則として建物の外壁や柱の中心線で囲まれた水平投影面積
- 軒・ひさし・バルコニーなどが中心線から1m以上張り出す場合は、その先端から1m後退した部分までを算入
- 建ぺい率の上限は、用途地域ごとに都市計画で定められている
建ぺい率の緩和|試験では「+10%」が狙われる
本番の法規では、基本の計算だけでなく建ぺい率の緩和がセットで出題されます。条文は建築基準法53条です。
| 条件 | 建ぺい率の扱い | 条文 |
|---|---|---|
| 防火地域内の耐火建築物等(指定建ぺい率80%の地域を除く) | 指定の数値に+10% | 法53条3項1号イ |
| 準防火地域内の耐火建築物等・準耐火建築物等 | 指定の数値に+10% | 法53条3項1号ロ |
| 特定行政庁が指定する角地など | 指定の数値に+10% | 法53条3項2号 |
| 上の「防火・準防火」と「角地」の両方を満たす | 指定の数値に+20% | 法53条3項 |
| 指定80%の地域内で、防火地域内の耐火建築物等 | 建ぺい率の制限なし | 法53条6項1号 |
「80%の地域」の扱いが別になっている点が、ひっかけの定番です。
- 建築面積:令2条1項2号
- 床面積:令2条1項3号
- 延べ面積:令2条1項4号
容積率とは?「建物全体の総量」
容積率は、敷地の広さに対して、全部の階の床面積を足した面積(延べ面積)がどれくらいかを表す割合です。重箱を横から見ると2段。これが2階建てです。
例:1階60㎡+2階60㎡=延べ120㎡ → 120÷100×100=120%
建ぺい率が同じでも、階を重ねれば容積率は上がります。「広さ」の制限と「量」の制限。この2つをセットで覚えるのがコツです。
容積率に算入しない部分|実務でも試験でも必須
容積率を計算するときの延べ面積には、一定の限度まで算入しなくてよい部分があります。ここを知らないと、試験でも実務でも計算が合いません。
| 部分 | 算入しない限度 | 条文 |
|---|---|---|
| 自動車車庫・自転車置場 | 全体の床面積の合計の1/5まで | 令2条1項4号・3項 |
| 住宅などの地階(天井が地盤面から1m以下) | 住宅などの用途部分の床面積の合計の1/3まで | 法52条3項 |
| 共同住宅・老人ホーム等の共用廊下・階段 | 全部算入しない | 法52条6項 |
| エレベーターの昇降路 | 全部算入しない | 法52条6項 |
| 備蓄倉庫・蓄電池・自家発電設備・貯水槽・宅配ボックス | それぞれ1/50〜1/100まで | 令2条1項4号・3項 |
第1話の重箱で言えば、「段の合計」を数えるときに、数えなくてよい段があるイメージです。
前面道路が狭いと、容積率は削られる
容積率には、都市計画で決まる「指定容積率」のほかに、前面道路の幅による制限があります。前面道路の幅が12m未満のときは、次の計算で上限が決まります。
・住居系の用途地域:原則 0.4
・それ以外の用途地域:原則 0.6
例:第一種住居地域・前面道路4m → 4×0.4=160%
指定容積率が200%でも、道路幅による上限が160%なら、小さい方の160%が実際の上限です。法規が「性格悪い」と言われるのは、こういう二重チェックがあるからかもしれません。
- 0.4・0.6の数値は、特定行政庁の指定で変わる場合がある(問題文の条件をよく読む)
- 前面道路が2本以上あるときは、原則として幅の広い方の道路で計算する
- 前面道路が12m以上なら、道路幅による制限はかからない
本番で差がつく3つの論点|2つの地域・2本の道路・特定道路
① 敷地が2つの地域にまたがるとき
建ぺい率・容積率は、それぞれの地域の面積で加重平均します(法53条2項・法52条7項)。「敷地の過半が属する地域」で決まるのは用途制限なので、混同に注意です。
| 規定 | 敷地や建物が2つの地域にまたがるとき | 条文 |
|---|---|---|
| 用途制限 | 敷地の過半が属する地域の規定 | 法91条 |
| 建ぺい率・容積率 | 面積による加重平均 | 法53条2項・法52条7項 |
| 防火地域・準防火地域 | 建築物全体に厳しい方の規定 | 法65条 |
| 道路斜線などの高さ制限 | それぞれの部分ごとに適用 | 法56条5項 等 |
② 前面道路が2本以上あるとき
道路幅による容積率の上限は、幅の最も広い道路で計算します(法52条2項)。
③ 特定道路に近いとき
前面道路の幅が6m以上12m未満で、幅15m以上の「特定道路」から70m以内にある敷地は、前面道路の幅に一定の数値を足して計算できます(法52条9項・令135条の18)。大通りの近くの敷地を救済するための規定です。
Wr:前面道路の幅(m)/L:特定道路までの距離(m)
例:Wr=8m、L=35m → (12-8)×(70-35)÷70=2m → 8+2=10mとして計算
試験問題に挑戦
▶ 解答と解説をひらく
道路幅による上限:4m×0.4=160%
指定容積率200%と比べて、小さい方の160%が上限。
延べ面積の最大:200㎡×160%=320㎡
発展問題|本番と同じ四肢択一
本番の法規は「正しいもの(誤っているもの)はどれか」を選ぶ四肢択一です。第1話の内容から、本番レベルの問題を3問用意しました。
- 前面道路が2以上ある場合、前面道路の幅員による容積率の制限は、幅員の最大のものにより算定する。
- 自動車車庫の用途に供する部分の床面積は、敷地内の建築物の各階の床面積の合計の1/5を限度として、容積率の算定の基礎となる延べ面積に算入しない。
- 住宅の地階で、その天井が地盤面からの高さ1m以下にあるものの住宅の用途に供する部分の床面積は、当該建築物の住宅の用途に供する部分の床面積の合計の1/3を限度として、容積率の算定の基礎となる延べ面積に算入しない。
- 前面道路の幅員が12m以上であっても、住居系の用途地域内においては、前面道路の幅員に4/10を乗じた数値による容積率の制限を受ける。
▶ 正解と、選択肢ごとの解説をひらく
正解:4
1. 正しい。法52条2項。
2. 正しい。令2条1項4号・3項。
3. 正しい。法52条3項。
4. 誤り。道路幅による制限は、前面道路の幅員が12m未満の場合に限られる(法52条2項)。
- 建ぺい率の限度が8/10とされている地域内で、かつ、防火地域内にある耐火建築物等については、建ぺい率の制限は適用しない。
- 準防火地域内にある準耐火建築物等は、建ぺい率の限度に1/10を加えた数値とすることができる。
- 特定行政庁が指定する角地内にある建築物は、建ぺい率の限度に1/10を加えた数値とすることができる。
- 敷地が建ぺい率の限度の異なる2つの地域にわたる場合、敷地の過半が属する地域の建ぺい率の限度を敷地全体に適用する。
▶ 正解と、選択肢ごとの解説をひらく
正解:4
1. 正しい。法53条6項1号。
2. 正しい。法53条3項1号ロ。
3. 正しい。法53条3項2号。
4. 誤り。それぞれの地域の面積による加重平均で算定する(法53条2項)。「過半」で決まるのは用途制限(法91条)。
- 600㎡
- 640㎡
- 700㎡
- 760㎡
▶ 正解と、選択肢ごとの解説をひらく
正解:3(700㎡)
1. 誤り。
2. 誤り。
3. 正しい。第一種住居地域:6m×0.4=240% > 200% → 200%。近隣商業地域:6m×0.6=360% > 300% → 300%。延べ面積の最大=200㎡×200%+100㎡×300%=400+300=700㎡。
4. 誤り。
第1話のチェックリスト
- □ 建ぺい率・容積率の式と、建築面積・延べ面積の違い
- □ 道路幅による容積率の制限(12m未満・住居系0.4/その他0.6・小さい方を採用)
- □ 建ぺい率の緩和(防火・準防火・角地で+10%、80%地域の適用除外)
- □ 容積率に算入しない部分(車庫1/5、住宅の地階1/3、共用廊下・階段など)
- □ 2つの地域にまたがるとき(建ぺい率・容積率は加重平均、用途は過半)
- □ 前面道路が2本のときは最大幅員、特定道路による緩和
建ぺい率・容積率は序の口。法規は、緩和や例外が何重にも重なる科目です。私自身、総合資格学院で学び、一度の挫折を経て一級建築士に合格しました。勉強の順番と問題の解き方を決めてもらえるだけで、限られた時間の使い方が大きく変わります。
実務と試験の違い|建築士の本音
試験では、計算できれば正解です。でも実務では、話はもう少し複雑になります。
- 車庫や地下室など、延べ面積に算入しない部分(容積率の緩和)がある
- 角地や防火地域内の耐火建築物などでは、建ぺい率の緩和がある
- 斜線制限や日影規制など、ほかの制限で「計算上の最大」まで建てられないことも多い
「計算上は建てられる」と「実際に建てられる」は別物。現場では、まず役所での調査から始めます。
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「広い土地を買ったのに、思ったより小さい家しか建たない」。そんな後悔を避けるために、土地を買う前に必ず確認したいポイントです。土地選びで見るべきことは、こちらの記事で詳しくまとめています。


建ぺい率と容積率のよくある質問(FAQ)
Q. 建ぺい率と容積率、どちらが厳しい?
敷地と地域しだいです。どちらか一方ではなく、両方を同時に満たす必要があります。
Q. 吹き抜けは延べ面積に入る?
吹き抜け部分には床がないため、床面積(延べ面積)には算入されません。
Q. 前面道路が2本ある角地はどう計算する?
容積率の道路幅による制限は、原則として幅の広い方の道路で計算します。角地は建ぺい率の緩和を受けられる場合もあります。
Q. 建ぺい率いっぱいに建てたほうが得?
面積だけ見ればそうですが、庭・駐車場・採光や風通しとのバランスが大切です。敷地の使い方まで含めて考えましょう。
Q. 建ぺい率・容積率は、法令集のどこを引けばいい?
建ぺい率は建築基準法53条、容積率は52条です。建築面積・床面積・延べ面積の定義は施行令2条1項にあります。
Q. 不動産広告に書いてある建ぺい率・容積率は、そのまま使える?
広告の数値は都市計画で指定された数値であることが多く、前面道路の幅による制限や緩和は反映されていない場合があります。土地を買う前に、役所や設計者に確認しましょう。
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