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“庭がある家”なのに、なぜ使われない?|建築士は”用途”から庭を考えている

敷地設計の教科書 #06 「庭がある家なのに、なぜ使われない?」― 建築士は用途から庭を考えている いえのキホン
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敷地設計の教科書 #06

敷地・外構・緑まで、土地全体で暮らしを設計する。一級建築士の視点で、家の外側の考え方をまとめたシリーズです。

SHEET — 使われる庭の要点S = 1:敷地設計の教科書 06 / kobayan

結論:庭は「広さ」ではなく、何をして過ごすかから考えます。「庭がある」と「庭を使う」は、まったく別のことです。

  • 使われない理由は、暑い・丸見え・出にくい・手入れが大変のどれかが多い
  • リビングからすぐ出られる庭ほど、使われやすい
  • ウッドデッキは、テーブルと椅子を置くなら奥行き1.8m以上がひとつの目安
  • 手入れの手間は、地面の仕上げで大きく変わる
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「せっかくだし、広い庭がほしいですよね!」

家づくりでは、庭付き、南庭、ウッドデッキにあこがれる人が多いものです。最初は「子どもを遊ばせたい」「バーベキューをしたい」「外でくつろぎたい」と夢が広がります。

でも実際には、見るだけの庭になっている家もかなりあります。

  • 夏は暑すぎる
  • 外から丸見え
  • 虫が多い
  • 手入れが大変
  • 出るのが面倒

こうして、だんだん庭に出なくなります。この記事では、庭が使われない理由を整理し、使われる庭のつくり方を建築士の視点でまとめます。

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「広い庭=使いやすい」ではない

庭を広くとっても、夏に暑い、丸見え、ぬかるむ、座る場所がない、となると、意外と使われません。

逆に、小さくても落ち着く、緑が近い、座れる場所がある庭は、よく使われます。大事なのは面積より、居場所です。

庭が使われない4つの理由

理由起きていること対策
暑い日差しが直撃する、照り返しが強い木陰や軒、パラソルで日陰をつくる(#07)
丸見え道路や隣の家から見える植栽や格子でやわらかく遮る(#05)
出にくい段差が大きい、遠回り、靴を履き替えるリビングからすぐ出られる位置に、段差を少なく
手入れが大変草取り、芝刈り、デッキの塗り直し手入れの手間が少ない仕上げを選ぶ

使われない庭は、この4つのどれか、または複数が重なっていることがほとんどです。

「出やすい庭」は、使われる

意外と大切なのが、家との距離感です。リビングからすぐ出られる、段差が少ない、デッキやテラスがある庭は、気軽に出られます。

逆に、遠回りしないと出られない、段差が大きい、毎回サンダルを探す、という庭は、だんだん面倒になります。動線が、庭の使われ方を決めるのです。

リビングの床とデッキの高さをそろえると、室内の延長として使いやすくなります。

ウッドデッキは、「広さ」より使い方

大きなデッキをつくっても、暑い、汚れる、管理が大変だと、使われなくなります。デッキの大きさは、そこで何をするかから決めましょう。

使い方奥行きの目安ポイント
腰かけて庭を眺める90cm程度縁側のような使い方
小さなテーブルと椅子でお茶1.5m程度2人でくつろげる
テーブルと椅子で食事1.8m以上椅子を引いて座れる余裕がある
子どもが遊ぶ、洗濯物を干す用途に合わせて物干しの位置や、日当たりも一緒に考える

この奥行きは、家具の大きさと人の動作から考えた目安です。天然木か人工木か、屋根をかけるかどうかで、手入れの手間と使いやすさも変わります。

手入れの手間は、「地面の仕上げ」で決まる

仕上げ見た目手入れ向いている使い方
天然芝やわらかく、緑が気持ちいい芝刈り、水やり、雑草取りが必要子どもが裸足で遊ぶ
人工芝一年中緑比較的楽。ただし夏は表面が熱くなる手入れの時間がとれない家庭
砂利自然な印象雑草対策の防草シートと組み合わせると楽通路、建物の周り
タイル・コンクリートすっきり掃除が楽。照り返しに注意テラス、物干し場
グランドカバー(地を這う植物)やわらかい緑ある程度の手入れが必要芝より手間を減らしたい場所

全部を一つの仕上げにするより、使う場所と眺める場所で分けると、手入れの負担と使いやすさのバランスがとりやすくなります。

庭の「用途」を先に決める

建築士は、庭を考えるとき、まず何をする庭かを整理します。

  • 眺める庭:リビングから見える緑。出なくても価値がある
  • くつろぐ庭:デッキやテラスで、お茶や食事
  • 遊ぶ庭:子どもが走り回る、水遊び
  • 働く庭:物干し、家庭菜園、自転車置き場

一つの庭に全部を詰め込むと、どれも中途半端になりがちです。用途ごとに場所を分けて考えると、小さな庭でも使える場所がつくれます。

使われる庭をつくる5つのコツ

  1. 用途を決める:眺める、くつろぐ、遊ぶ、働く。何をする庭か
  2. リビングからすぐ出られる位置に:段差を少なく、床とデッキの高さをそろえる
  3. 日陰をつくる:木陰、軒、パラソル。夏も出られる庭に
  4. 視線をやわらかく遮る:植栽や格子で、落ち着いて過ごせる庭に
  5. 手入れできる量にする:使う場所と眺める場所で仕上げを分ける
👓 建築士のメモ

庭の打ち合わせでは、「広さ」と「芝生にするかどうか」から話が始まることが多いです。でも、本当に使われる庭になるかどうかは、リビングとのつながり方でほぼ決まります。間取りを考えるときに、「この窓から庭に出る」「ここでお茶を飲む」という場面を一緒に描いてみてください。

わかっていること、いないこと

テーマわかっていること注意点
デッキの奥行きテーブルと椅子を置くには、家具と動作の寸法から1.8m程度が必要家具の大きさや使い方で変わる
地面の仕上げと手入れ芝や植物は手入れが必要で、タイルや砂利は比較的楽地域の気候や日当たりで、手入れの手間は変わる
庭の使われ方動線や日陰、視線が使われ方に影響する、というのは設計の実務での経験則庭の利用頻度を調べたデータは限られている

庭をつくる前に確かめたい5つのこと

  • □ その庭で、何をして過ごしたいか決めたか
  • □ リビングから、段差少なくすぐ出られるか
  • □ 夏に日陰になる場所があるか
  • □ 道路や隣の家から、丸見えにならないか
  • □ 手入れの手間が、自分たちの暮らしに合っているか

使われる庭のよくある質問(FAQ)

Q. 天然芝と人工芝、どちらがいいですか?

天然芝は見た目と足ざわりがよく夏も比較的涼しいですが、芝刈りや水やり、雑草取りが必要です。人工芝は手入れが楽ですが、夏は表面がかなり熱くなります。手入れにかけられる時間と、子どもが裸足で遊ぶかどうかで選びましょう。

Q. ウッドデッキは、天然木と人工木のどちらがいいですか?

天然木は風合いがよい一方、数年ごとの塗り直しなど手入れが必要です。人工木は手入れが楽ですが、夏は表面が熱くなりやすいものもあります。屋根をかけるかどうか、日当たりも含めて選びましょう。

Q. 庭はいらない、という選択はありですか?

ありです。手入れの負担を減らすために、庭を小さくして駐車場や室内を広くする選択もあります。その場合でも、リビングから緑が少し見える場所をつくると、暮らしの心地よさが変わります。

まとめ|庭は、暮らしの場所

  • 「庭がある」と「庭を使う」は別のこと
  • 使われない理由は、暑い・丸見え・出にくい・手入れが大変
  • リビングからすぐ出られる庭ほど、使われやすい
  • 用途を決めて、手入れできる量でつくる

庭は、建物のまわりの空白ではありません。暮らしの一部になる場所です。広さより、そこで過ごす時間を思い描いて、庭の形を決めてみてください。

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この記事を書いた人|メガネ建築士(一級建築士・宅地建物取引士・ハウスメーカー設計士/150棟以上の住宅設計)
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