PR

和モダンは、”和室を作ること”ではない|日本の”余白”と”陰影”のデザイン

インテリア設計の教科書#10 「和モダンは、和室を作ることではない」― 日本の余白と陰影のデザイン いえのコダワリ
本記事にはアフィリエイト広告(PR)が含まれます。
スポンサーリンク
インテリア設計の教科書 #10

家具選びではなく、光・素材・余白・暮らし方から空間を整える。一級建築士の視点で、心地よいインテリアの考え方をまとめたシリーズです。

SHEET — 和モダンの要点S = 1:インテリア設計の教科書 10 / kobayan

結論:和モダンは「和風にすること」ではなく、余白・陰影・素材の静けさを整えて、静かに暮らせる空間をつくる考え方です。

  • 日本の住まいは、全部を明るくしないことで落ち着きをつくってきた
  • 障子や深い軒は、光を拡散してやわらげる装置
  • 木・土・紙・布など、光を強く反射しない素材が空気を柔らかく見せる
  • 低い家具と余白で、目線が下がり、空間に呼吸が生まれる
スポンサーリンク

「和モダンって、結局どんな空間?」

最近よく聞く「和モダン」。でも、畳を入れればいいのか、木を多く使えばいいのか、黒い建具にすればいいのか、旅館のようにすればいいのか。考え始めると、意外とあいまいです。

建築士の視点では、和モダンはデザインの様式というより、空気感のつくり方だと考えています。この記事では、日本の住まいが大切にしてきた「余白」と「陰影」を手がかりに、今の家で和の落ち着きをつくる方法を整理します。

スポンサーリンク

日本の住まいは、「暗さ」を受け入れていた

昔の日本の家は、今の家よりずっと暗いものでした。深い軒が直射日光をさえぎり、障子が光をやわらげ、木や土の壁が光を静かに吸い込みます。部屋の奥には、ほの暗い場所が残っていました。

作家の谷崎潤一郎は、1933年の随筆『陰翳礼讃』で、日本の美しさは明るさの中ではなく、陰影の中にこそあると書きました。漆器や金屏風が、薄暗い部屋の中でこそ美しく見える、というのです。

この感覚は、照明の研究とも重なります。インテリア設計の教科書#12で紹介したように、明るさにむらがあり、壁際がやわらかく照らされた空間は、「くつろげる」と感じられやすいことがわかっています。日本の住まいは、それを経験的に知っていたのかもしれません。

障子は、光をやわらげる装置

障子は、ただの古い建具に見えるかもしれません。でも実は、とても優れた光の拡散装置です。

紙を通った光は、あらゆる方向に散らばり、部屋の中にやわらかく広がります。直射日光のまぶしさや、くっきりした影ができにくくなります。和室が「明るすぎないのに、なぜか心地いい」のは、このためです。

今の家でも、障子やプリーツスクリーン、和紙調のブラインドなど、光を拡散する窓まわりを選ぶと、同じ効果が得られます。

「素材の静けさ」が空気を柔らかくする

和モダンで大事なのは、派手な素材ではなく、静かな素材です。

素材光の返し方空間の印象
木(無垢・木目の見える仕上げ)やわらかく返す温かく、落ち着いた印象
左官(塗り壁)ほとんど反射しない光がしっとり吸い込まれ、静かな印象
和紙・障子光を拡散する明るいのにまぶしくない
布(リネン・綿)やわらかく返す空間の硬さをほぐす
ツヤの強い素材(鏡面・光沢タイル)強く反射する華やかだが、落ち着きにくい

光を強く反射しない素材が多いほど、空間の空気はやわらかく見えます。和モダンが「黒」や「濃い木の色」を好むのも、光を吸い込んで陰影を深くするためです。

「余白」があるから、落ち着く

日本の伝統的な空間は、意外とモノが少ないものです。でもそれは「何もない」のではなく、呼吸するための場所を残しているのです。

床の間、何も掛けない壁、低い家具。こうした静かな場所があることで、人の気持ちは落ち着きます。余白は、モノが置けない場所ではなく、そこにあるものを引き立てる場所です。

家具を低くすると、日本の空気になる

日本の住まいは、もともと床に座る暮らしが基本でした。目線が低い空間では、天井が高く感じられ、窓から見える景色も変わります。

今の家でも、低めのソファ、低いテーブル、床に近いところに光を置く照明にすると、目線が下がり、和の落ち着きが出やすくなります。逆に、背の高い家具が壁一面に並ぶと、圧迫感が強くなります。

「見せすぎない」が、美しさになる

和モダンの美しさは、豪華に飾ることではなく、全部を説明しないことにあります。

  • 照明は、光源を見せずに壁や天井を照らす
  • 収納は扉で閉じ、見せるものは一つか二つに絞る
  • 窓の外の景色は、全部見せずに一部を切り取る

少し隠すことで、想像の余地が生まれ、空間に奥行きが出ます。

今の家で和モダンをつくる5つのコツ

  1. 光を拡散する窓まわりを選ぶ:障子、プリーツスクリーン、和紙調のブラインドなど
  2. 夜は低い位置に光を置く:床に近いスタンドや足元の間接照明で、陰影をつくる
  3. 反射の少ない素材を選ぶ:塗り壁、木、和紙、布。ツヤの強い素材は控えめに
  4. 家具を低くそろえる:ソファやテーブルの高さをそろえると、水平線が整って静かな印象に
  5. 何も置かない場所を一つつくる:床の間のように、あえて空けておく壁や一角を決める
👓 建築士のメモ

和モダンの相談では、「畳コーナーをつくりたい」「黒い建具にしたい」という形から入ることが多いです。でも本当に効いてくるのは、光の入り方と素材の選び方です。畳がなくても、光を拡散する窓と、反射の少ない壁と、低い家具がそろえば、空間は自然と和の落ち着きを帯びてきます。

わかっていること、いないこと

テーマわかっていること注意点
陰影と落ち着き明るさにむらがあり、周囲をやわらかく照らす空間は「くつろげる」と感じられやすい主に照明の印象評価の研究。和室そのものを対象にした研究ではない
障子の光紙が光を拡散し、まぶしさや強い影をやわらげるのは、光の性質として確か紙の種類や厚みで、明るさは変わる
「和の落ち着き」谷崎潤一郎『陰翳礼讃』など、日本の美意識として語り継がれてきた文化的な感じ方であり、誰にでも同じように効くとは限らない

和モダンにする前に確かめたい5つのこと

  • □ 窓まわりに、光を拡散するものがあるか
  • □ 夜、低い位置に光を置けるか
  • □ 壁や床に、ツヤの強い素材を使いすぎていないか
  • □ 家具の高さがそろっているか
  • □ 何も置かない壁や一角を決めているか

和モダンのよくある質問(FAQ)

Q. 畳がないと和モダンになりませんか?

なります。和モダンの本質は、畳や障子という形よりも、光をやわらげ、陰影をつくり、余白を残すことです。光を拡散する窓まわり、反射の少ない素材、低い家具がそろえば、畳がなくても和の落ち着きは出せます。

Q. 暗い家にすると、気持ちまで暗くなりませんか?

部屋全体を暗くするのではなく、明るい場所と暗い場所の差をつくるのがポイントです。作業する手元はしっかり明るく、くつろぐ場所は少し暗めに。昼は自然光を障子でやわらげて取り込みましょう。

Q. 和モダンと北欧インテリアは合わせられますか?

合わせやすい組み合わせです。どちらも木や布など自然素材を好み、余白と柔らかい光を大切にします。色数を抑え、素材感をそろえると、自然になじみます。

まとめ|和モダンは、静かに暮らすための設計

  • 和モダンは「和風にすること」ではなく、余白と陰影を整えること
  • 日本の住まいは、全部を明るくしないことで落ち着きをつくってきた
  • 障子や静かな素材は、光をやわらげ、空気を柔らかく見せる
  • 低い家具と余白で、目線が下がり、空間に呼吸が生まれる

和モダンとは、日本の家が長い時間をかけて育ててきた、静かに暮らすための知恵を、今の家に翻訳することです。和室をつくることではなく、光と影と余白を整えることから始めてみてください。

次に読む

シリーズの前の回。ホテルライクが冷たく見える理由です。

ホテルライクが、"冷たく見える"理由|高級感と"落ち着き"は、実は別の話
黒いフレーム、石目、ガラス、暗めの照明。ホテルライクなインテリアはかっこいいのに、住むと落ち着かないことがあります。その理由は、高級感と居心地が別のものだから。素材と光の性質から、暮らせるホテルライクのつくり方を一級建築士が解説します。

シリーズの次の回。窓と視線のストレスの話です。

レースカーテン閉めっぱなし問題|"視線ストレス"が、家を疲れさせる
せっかく大きな窓をつくったのに、昼でもレースカーテンを開けられない。その原因はカーテンではなく「視線の設計」にあります。プライバシーの心理学と窓の研究をもとに、光は入れて視線は切る窓の考え方を一級建築士が解説します。

照明の回。陰影と落ち着きの研究を詳しく紹介しています。

ダウンライトだらけの家が、疲れる理由|"均一な明るさ"は、本当に快適?
天井のダウンライトで部屋中を均一に明るくした家が、夜になると落ち着かない。その理由は、明るさの「むら」と「位置」にあります。照明の心理学や睡眠の研究をもとに、壁を照らす、場所ごとに光を分けるなど、くつろげる照明計画の考え方を一級建築士が解説します。

おすすめ|リフォームの相談、まだ間に合います

📐 一級建築士・こばやんより

「リフォームで後悔した」という声の多くは、工事が始まる前に、一度も複数社と比較しなかったことが原因です。
工事前なら、まだ間に合います。


▶ 建築士がすすめる、後悔しない第一歩

🏠 リフォーム比較プロ

― 営業なし・完全無料で、リフォーム会社を比較できる場所 ―

✅ 契約前から相談できる(しつこい営業なし)

✅ 複数社の見積もりを比較してから決められる

✅ 「この金額、本当に適正か?」を中立な立場で整理できる

✅ 玄関・収納・動線の”見落とし”を、プロ視点で確認できる

「リフォームの後悔って、工事前なら防げることが多いです。
比較せずに決めるのが、一番危ない。」

― こばやん(一級建築士)

※ 完全無料・しつこい営業なし・いつでも退会OK
※ 本リンクはアフィリエイト広告を含みます

この記事を書いた人|メガネ建築士(一級建築士・インテリアコーディネーター・ハウスメーカー設計士/150棟以上の住宅設計)
設計実務の目線で「後悔しない家づくり」を発信しています。 プロフィール・運営者情報 ▶

コメント

タイトルとURLをコピーしました